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キッズフォトにZV-E10ってどうなの?

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『SONY VLOGCAM ZV-E10』は2021年9月に発売されてからずっと人気があり、最近のデジタル一眼の人気売れ筋ランキングでもずっとTOP10に入っています。

今回、ZV-E10のレンズキットを使用する機会を得ましたので、いつもどおりキッズフォトで使えるカメラかレビューしてみたいと思います。

VZ-E10ってどんなカメラ?

α7Ⅳのようなフルサイズセンサーより一回り小さい、APS-Cセンサーを搭載したレンズ交換式のミラーレス一眼カメラです。

SONYのAPS-CセンサーのミラーレスカメラにはZV-E10の他にα6000シリーズ(現行機種はα6600とα6400)がありますが、α6000シリーズはボディだけでも新品で10万円以上するのに対してZV-E10はボディのみで79,000円程度、レンズキットでも88,000円程度で購入可能です。

αシリーズとの大きな違い・ZV‐E10の特徴は、『ファインダーがない』『操作ボタンが少ない』『マイク性能が良い』『小型軽量』で『写真撮影機能よりも動画撮影機能を優先した低コストカメラ』という点です。

そもそも名前が『VLOGCAM ZV-E10』なのでVlog(ビデオブログ)という自撮り動画撮影がコンセプトのカメラです。

スペック表でα6400、α6600、そしてフルサイズだけれど小型軽量なα7Cと比較してみましょう。

ZV-E10α6400α6600α7C
画像処理エンジンBIONZ XBIONZ XBIONZ XBIONZ X
センサーサイズAPS-CAPS-CAPS-Cフルサイズ
画素数約2420万約2420万約2420万約2420万
AF測距点425点425点425点693点
瞳AF人物・動物人物・動物人物・動物人物・動物
トラッキングAF
4K動画撮影30p30p30p30p
ISO-低速限界
ファインダーEVF
(236万ドット)
EVF
(236万ドット)
EVF
(236万ドット)
液晶モニター3.0インチ
(92万ドット)
3.0インチ
(92万ドット)
3.0インチ
(92万ドット)
3.0インチ
(92万ドット)
モニター形式バリアングルチルトチルトバリアングル
ボディ内手振れ補正
(動画時電子手振れ補正有)
内蔵フラッシュ
USB-TypeC
バッテリーNP-FW50NP-FW50NP-FZ100NP-FZ100
静止画撮影枚数440枚410枚810枚740枚
動画撮影時間80分75分150分140分
重量
(バッテリーとカード込み)
約343 g約403 g約503 g約509 g
寸法約115.2 x 64.2 x 44.8 mm約120.0 x 66.9 x 59.7 mm約120.0 x 66.9 x 69.3 mm約124.0 x 71.1 x 59.7mm
実売価格(ボディ)79,000円118,000円160,000円234,000円
特に優れる点を青字、特に劣る点を赤字で示します。

こうしてみるとZV-E10はα6000シリーズとはほぼ同スペックなのに、ものすごく安いカメラということになりますね。

バッテリーがNP-FW50で容量が少ない(撮影可能時間が短い)のが少し残念ですが、α6400も同じなのでここは仕方ないかと。

それでは実際に使用してみた感想をVlog用途という視点ではなくキッズフォト用途で評価していきたいと思います。

静止画撮影の性能

動画撮影機能を優先したカメラということで静止画撮影機能は低いのかとも思ったのですが、センサーはα6000シリーズと同じ約2420万画素のAPS-C Exmorセンサー、画像処理エンジンはBIONZ Xと基本的な静止画撮影性能はα6400やα6600とほぼ同じなので、想像したより良い写りでした。

キットレンズのE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSを使用した作例を撮ってみました。

50mm(フルサイズ換算75mm)、SS1/80秒、F8.0、ISO125
30mm(フルサイズ換算45mm)、SS1/250秒、F5.0、ISO320
U-ma
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さすがにAPS-CセンサーとF値が大きくて暗いキットレンズの組合せなので、フルサイズセンサーのカメラよりもボケが少し弱いですが、解像感は十分です。

センサーがフルサイズより小さいため、ISO感度を上げた場合のノイズが気になったので夜間のイルミネーションも撮影してみました。

47mm(フルサイズ換算70mm)、SS1/80秒、F5.6、ISO6400
U-ma
U-ma

ISO1600くらいからノイズ感が出ましたが、

ISO6400でもこのくらいなら許容範囲かなと思います。

さすがに2021年発売の新しいカメラなのでノイズ処理性能が高いようですね。

どうでしょう?さすがにフルサイズセンサーを搭載したカメラと比べれば劣る部分もありますが、解像感やノイズ耐性などの写真撮影性能はα6000シリーズと同等であり、キッズフォトに十分な性能があります。

AF性能

AFは2021年9月発売のカメラということもあって、瞳AF性能も高く、その被写体は人物と動物に対応しています。

トラッキングAFにも対応していますので動き回る子供が相手でも安心して撮影できます。

実際にトラッキングAFを試した作例が以下のようになります。

歩きながら看板にトラッキング枠を合わせてシャッターを半押ししてトラッキングAFを作動させ、そのまま看板の前を横切るように歩き続けながら片手で何枚か撮影したのですが、きちんと看板をトラッキングし続けてフォーカスがあっています。

26mm(フルサイズ換算39mm)、SS1/125秒、F4.5、ISO100

外観と操作性

ZV-E10のコスト削減ポイントであり短所となるのが操作性とファインダーです。

まず全体の外観は艶消しの樹脂製で高級感や剛性感はありませんが、指紋は目立ちにくく仕上げてあり安っぽいというほどではありません。本体カラーはブラック以外にホワイトもあります。

ファインダーがないため、上下左右と背面は凹凸がなく比較的フラットで、全面のグリップとレンズだけが飛び出している形状なので小さなレンズを付けた場合であればほぼコンデジ程度の大きさです。

ファインダーが無いことについては、スマホやコンデジ感覚で写真を撮影する方には特に問題ないと思います。

U-ma
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私自身はファインダーを多用する方なので、ファインダーが無いと少し不便に感じました。

また、α7Ⅲやα7Ⅳなどのフルサイズ機に比べるとAPS-C機は露出設定などを行うボタン類の数が少ないのですが、ZV-E10はα6000シリーズよりもさらにボタン類が少なくなっています

まず、通常は上面にモード切替ダイヤルがあり静止画撮影の各種モード(オート、Pモード、Mモード、Aモード、Sモードなど)やシーンモード、動画撮影モードなどを簡単に切り替えられますが、ZV-E10にはモード切替ダイヤルは無く、モード切替ボタンがあります

モード切替ボタンは押すたびに静止画撮影⇒動画撮影⇒S&Q(スロー&クイック)⇒静止画撮影⇒・・・と3つのモードを順に切り替えることができます。

そしてオート撮影、Aモード(絞り優先)、Sモード(シャッタースピード優先)、シーンモードなど各種撮影モードはメインメニュー画面を開くかFnメニューを開く必要があります。

Fnメニュー内の撮影モード

初心者の方ならば頻繁に撮影モードを切り替えることもないと思うのであまり気にならないかもしれませんが、一眼カメラに慣れた人だとちょっと一手間かかるため不便に感じると思います。

上面は他に電源、シャッター(ズームレバー)、録画、ボケコントロール(C1)、コントロールホイールだけで、平坦で凹凸のないデザインです。

カメラ背面のボタン類はメニューボタン、Fnボタン、コントロールホイール(上下左右、中央、回転)、再生、ゴミ箱だけで非常にシンプルです。

これだけボタン類が少ないので、初心者の方でオート撮影モードやシーン撮影モードで撮る分には非常にシンプルで使いやすいかと思います。

できるだけ簡単にボケ具合を調整して一眼カメラらしい本格的な写真を撮影する方法として、本ブログでもおすすめしているAモード(絞り優先)を使用する場合、上面ホイールと背面ホイールで絞りを調整できるのですが・・・。

ここで問題になるのがZV-E10には『ISO-AUTO低速限界』の設定が無いことです。

以前の記事『キッズフォトにおすすめの撮影モード』で紹介していますが、Aモード(絞り優先)でISOの設定もオートにした場合、「シャッタースピード」と「ISO」はカメラが自動で調整して「絞り」だけ自分で決める状態になります。この時、自動調整されるシャッタースピードが設定値以下にならないようにするのが『ISO-AUTO低速限界』です。

動きの多い子供の写真を撮る場合、シャッタースピードが遅すぎると子供の動きがブレてしまう場合(被写体ブレ)があるため、屋外であれば1/500秒以上、室内など暗い場所でも最低でも1/250秒以上にしたいため『ISO-AUTO低速限界』を1/250秒~1/500秒くらいに設定します。

ZV-E10ではこの設定ができないため、Aモードのシャッタースピードの自動調整の下限は撮影時の手ブレがしない程度に自動調整されてしまいます。(一般的にSSが1/焦点距離であれば手ブレを防げる)

そのため、明るい場所で絞り開放側で撮影する分にはシャッタースピードは速くなるのであまり問題ありませんが、室内やF値を絞った撮影ではシャッタースピードが1/50程度まで下がってしまい、手ブレは防げても子供の動きが被写体ブレした写真になってしまいます

そのため、ZV-E10でボケ具合を調整した一眼カメラらしいキッズフォトを撮りたい場合、Mモードを使う、Aモードで絞りだけでなくISOも自分で調整するなど、二つ以上の露出項目(絞り+SSまたは絞り+ISO)を調整する必要があるので一眼カメラに慣れていない人には難しいでしょう。

一応、上面のボケコントロールボタンで【ボケ(F値解放)】【くっきり(F値11)】のモード切替ができるのでメーカーとしてはオートモード+ボケコントロールボタンで撮影することを推奨しているのかもしれませんが、シャッタースピードはコントロールできません。

被写体ブレの心配があまりない普通の撮影であればオートモードでも良いのですが、キッズフォトではシャッタースピードを1/250秒以上にコントロールする必要があるので、オートモードで撮影するにはできるだけF値の小さい明るいレンズを使う必要があります

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Aモード中のシャッタースピードの低速限界が設定できないのはキッズフォトでは大きなデメリットになります。

手振れ補正

ZV-E10はボディ側に手振れ補正機能がなく、撮影時に手振れ補正を行うにはレンズ側に手振れ補正機能がついている必要があります。

とはいえ、キッズフォトの場合には前述のとおり被写体ブレを防ぐためにシャッタースピードを1/250秒以上に速くするので、ほとんどのシーンで手振れ補正機能がなくとも手ブレの心配はありません。

また、動画撮影時には電子手振れ補正(アクティブ手振れ補正)を使うことができるので、動画撮影時の手ブレも心配ありません。

動画撮影の性能

さすがにVlog用カメラなので動画性能は高く、4K30pの動画撮影が可能です。

動画撮影時は本体が発熱しますが、バリアングル液晶を開けた状態で撮影すれば熱暴走せずにスペック通り長時間撮影が可能でした。

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今回は自動電源オフ温度「標準」の設定でも大丈夫でしたが、夏場だと「高温」に設定しないと厳しそうな程度には発熱していました。

ボディ内蔵のマイクも明らかに普通の内蔵マイクよりも性能が高く、音声がクリアでノイズも非常に少なかったです。ウインドマフ(モフモフした風よけ)も付属しています。しかし、マイクは指向型はなく全周型なので、後方の自分の声をあまり入れずに離れた前方の被写体の音声を録りたい場合は指向性のガンマイクなどが必要になります。

動画撮影時にも瞳AFが効きますので、AF性能も問題ありませんでした。

ただし、動画撮影中にシャッターボタンを押しても静止画撮影(JPG)はできません。また、動画撮影モードでは録画中でなくてもシャッターボタンで写真を撮ることはできません。

そして、撮影モード切替は【写真⇒動画⇒S&Q⇒写真⇒・・・】とループするので、動画撮影中に写真を撮影したくなった場合には、【録画を終了する⇒撮影モード切替ボタンを2回押して「写真モード」にする⇒写真を撮影する】という手順が必要なため、動画撮影中のとっさの写真撮影は不可能です。

キットレンズとおすすめのレンズ

ZV-E10はボディと『E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS』がセットになったレンズキットが約88,000円で購入可能です。ボディのみの価格が約79,000円ですから差額9,000円で『E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS』が手に入ることになります。

この『E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS』はどんな性能なのか?

このレンズは単体では2013年2月発売のレンズですが、2012年10月に発売されたカメラ『NEX-5』や『NEX-6』のキットレンズで付属したレンズでもあります。

現在の実売価格は3万円ちょっとです。光学設計も古いレンズなので性能はそんなによくありません。

焦点距離は16‐50mm(フルサイズ換算で24‐75mm)で、F値は焦点距離に合わせてF3.5からF5.6で変動する暗めのレンズです。

しかし、カメラの電源をOFFにすると格納されるリトラクタブル機構があるため非常に小型軽量(直径64.7mm、長さ29.9 mm、重さ116g)なレンズにもかかわらず手振れ補正機能とパワーズーム機能(電動ズーム)がついています。

F値が暗くシャッタースピードを速くできないのでキッズフォトには不向きなレンズです。しかし、【小型軽量+手振れ補正+パワーズーム】により動画撮影にはそれなりに使いやすいレンズので、差額9,000円で手に入るのなら持っていて損はないかと思います。

キッズフォトを撮影するのであれば、F値の明るいSONY『E 16-55mm F2.8 G』やTAMRON『17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD (Model B070)』(手振れ補正あり)、SIGMA『18-50mm F2.8 DC DN』などのレンズがおすすめです。

また、TAMRON『20-40mm F/2.8 Di III VXD (Model A062)』などフルサイズ用の広角ズームレンズという選択も良いと思います。

動画撮影、特に自撮り撮影などもするのであれば焦点距離14mm(フルサイズ換算21mm)以下の広い画角が使えるSONY『E PZ 10-20mm F4 G』やTAMRON『11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)』などのレンズがおすすめです。

まとめ

ZV-E10を使用してみた感想は以下の通りです。

ZV-E10の良いところ

  • 非常に小型軽量=コンデジ並み
  • すごく安い=ボディのみ約7.9万円、レンズキット約8.8万円
  • 写りはα6000シリーズと同等
  • トラッキングAFが使える
  • 動画性能(4K撮影可能、マイク性能が高い)

ZV-E10 のいまいちなところ

  • 操作性=特にISO-AUTO低速限界が設定できない
  • ファインダーが無い
  • 動画撮影中のJPG撮影ができない
  • バッテーリー容量が小さい

キッズフォトを始めるパパママの最初の1台としては?

『ISO-AUTO低速限界』が設定できないので『手軽に良い写真を撮る』のは難しいです。そのため、写真メインの用途ではあまりおすすめできません

動画メインの用途で、写真はオート撮影モードを使用する。動き回る子供の多少の被写体ブレを許容できるのであれば、非常にコスパの良いカメラです。

普通のカメラ初心者の最初の1台には?

前述の『ISO-AUTO低速限界』が無いことによる被写体ブレが問題にならない普通の撮影がメインであれば、APS-Cミラーレスの入門機としては非常にコスパの良いおすすめのカメラです!

中級者のサブ機としては?

カメラに慣れた方にとってはサブ機としても物足りない性能です。非常に小型軽量であるため、極力荷物を減らしたい場合などのサードカメラとしてなら良いと思います。

U-ma
U-ma

Vlog用だからあまり写真撮影には使えないかと思っていたのですが、予想していたより全然普通に写真を撮ることができてAPS-Cミラーレスカメラの入門機としてはなかなかコスパが良いなと思いました。

しかし、ISO-AUTO低速限界が使えないのでキッズフォトにはちょっと厳しいかな・・・。

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