写真における構図とは被写体や空間をどう配置するか、ということです。
何を撮って、何を伝えたいのか、正しく表現するためには適切な構図を使用できる必要があります。
一方で、意識しすぎると構図迷子になってしまうこともあるので、自然に使えるようになることを目指しましょう。
この予習記事では代表的ないくつかの構図を紹介します。(※いくつかの素材はPhotoAC様のフリー素材です。)
主題・副題
まず構図を紹介する前に、構図を作るための基本、主題と副題についてお話しします。
主題はその写真で伝えたいメインの要素、『被写体』です。キッズフォトでいえば当然お子さん自身のことです。
副題は、被写体に添える2番目の要素です。必ず必要なものではありませんが、主題との関連性、ストーリー性などを感じられるものを副題とすることで写真の内容を深めることができます。
キッズフォトであればお子さんがみているもの、遊んでいるもの、一緒に写るお母さんお父さんなどが副題になることが多いでしょう。
写真の引き算
よく「写真は引き算」と言われます。
昔のインスタントカメラやスマホカメラの様に全体にピントの合った広角の写真は、被写体だけでなく背景もくっきりと記録されるため情報量が多い写真でした。
旅の記録、思い出の記録としては良いのですが、被写体を際立たせた印象深い写真にするには余計な情報量を削ることが重要です。
「引き算」をする方法の一つは、シンプルに余計なものが写らない構図を探すことです。
二つ目は以下の写真の様に、ボケを活用して余計なものの印象を薄くすることです。ごちゃごちゃした背景をボカすことで写真の情報量を削り、印象を被写体に集中させることができます。
日の丸構図
日の丸構図は最もシンプルな構図で、写真の中央に被写体を配置する構図です。
シンプルすぎるがゆえに単調な写真になりやすく、初心者っぽくなってしまう構図と思われがちですが、被写体のインパクトが強い写真ではとても有効な構図です。
実際に日の丸構図をたくさん使うプロの人もいるので、安心して使っていきましょう。
特にキッズフォトとの相性は良く、赤ちゃんや子供を中心に捉えて明るめの露出にして周囲をボカすことで、優しいふんわりとした写真に仕上げることができます。
二分割構図(対称構図)
写真を上下または左右に二つに分割する構図です。
分割した二つのエリアに街並みと空、海と空の様に属性の異なる二つのものを配置することが多い構図なので、使えるシーンの多い構図です。
必ず中央で分割しなくてはいけないわけではなく、主題としたい側が多めに写るように分割位置を少しずらすこともできます。
分割位置を写真の中央にして、線対称(シンメトリー)に被写体を配置する対称構図は安定感のある写真になります。
建物などの人工物を使った左右対称の構図や、水面に映った逆さの風景を使った上下対象の構図が代表的です。
三分割構図(四分割構図)
三分割構図は写真を上下、左右にそれぞれ3つに分割する構図で、最もよく使われる構図です。
分割線の上に被写体を配置する、分割線の交点に被写体を配置することで写真全体のバランスが良くなります。
また、例えば上から順に空、海、砂浜の様に分割したそれぞれのエリアに異なる属性のものを配置してもバランスが良くなります。
三分割構図単体で使うだけでなく、ほかの構図と組み合わせて使用されることも多い構図です。
キッズフォトやポートレートでは被写体を右に寄せるか、左に寄せるかで印象が大きく変わります。被写体の視線や意識が向かう先の空間を構図に入れた方がバランスが良くなります。
同様に上下左右に四分割した四分割構図もあります。風景など広い画角の写真で三分割構図と違った印象を出したい時などに使われますが、キッズフォトなどでとっさに使うにはバランスが難しい構図です。
対角線構図
対角線構図は写真の対角線上またはそれにほぼ平行なライン上に被写体を配置する構図です。
端から端まで同じ距離にあるものを対角線上に配置することもありますが、奥行きのあるものを対角線上に配置することで写真の立体感がより大きくなります。
初心者にありがちですが、対角線構図を覚えると写真をやたらと傾けがちになるので気を付けましょう。
確かに、同じような構図が続いて写真が単調になってしまった時などには、アクセントとして写真を傾けることは有効です。
しかし、傾いた写真は撮影者本人はあまり違和感を感じないものですが、第三者にとっては背景などの平衡感覚がおかしく酔うような違和感を感じさせてしまいます。
背景などの情報をアングルやボケで極力削り、傾きも対角線と平行にすることでやっとギリギリバランスが取れるような難しい構図となります。
初心者のうちはカメラを絶対に傾けないくらいのつもりの方が良いでしょう。
三角構図
三角構図は被写体を例の様に仰ぎ見るなどして△に配置する構図で、安定感や立体感が強くなる構図です。
被写体の形や頭身を正確に写すのではなく、あえて歪ませるように写すことで三角構図にすることが多く、芸術的な表現になります。
額縁構図(トンネル構図、サンドイッチ構図)
額縁構図は手前にある建物の窓や門、木々の枝葉を使って額縁を作り、その奥の被写体を際立たせる構図です。
何気ない風景に立体感を持たせたり引き締まった印象を付けることができるため街角スナップ写真などと相性の良い構図です。
額縁の作り方は様々で、下の作例の左の写真の様に構造物を使ったものだけでなく、右の写真の様に手前にある枝葉の隙間から奥の風景を撮ることでも額縁を作ることができます(トンネル構図)。
また、四辺すべてに額縁を作らなくとも、左右だけに縁を作るサンドイッチ構図やL字型に額縁を作るだけでも額縁構図と同様の効果が得られます。
放射線構図(消失点構図)
放射線構図は写真の中の1点に向かう放射線上の構図です。
特に奥行きのある消失点構図として使うと写真の奥行き、立体感が非常に大きくなります。
消失点を中心に配置して対象構図と組み合わせたり、消失点の位置をずらして三分割構図と組み合わせることでバランスの良い写真となります。
まとめ
代表的な構図をいくつか紹介しましたが、これ以外にもたくさんの構図があります。
すべての構図は『構図が先に存在してそれに当てはめて撮影することで写真が良くなる』のではなく、『バランスが良くなるように被写体を配置した結果、よく使われる配置がパターン化されて構図になった』と認識しましょう。
人間の美的感覚をパターン化したものが構図です。
構図を意識して使うのではなく、バランスの良い写真を意識することが大切です。
構図を学んでおくことで、写真のバランスを意識したときに結果的に『パターン化されたどれかの構図』になるよう、自然に構図が使えるようになるのが理想です。
初心者のうちは日の丸構図と三分割構図の二つをメインに使って写真に慣れていきましょう。
また、撮影時に構図が上手くいかなかったとしても撮影後にトリミングで調整することで構図のバランスをとることもできるので、必要以上に意識しすぎる必要はありません。
※一部の作例にhttps://www.photo-ac.com/様の素材を使用しております。
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