これから写真を始めたいカメラ初心者やパパママカメラマンさんにとって、カメラにかかるコストってすごく重要だと思います。
一番お金がかかるのがカメラ本体、2番目にお金がかかるのがレンズだけれど、高額な純正レンズと低コストなサードパーティレンズ、できればサードパーティレンズを選びたいですよね。
そこで気になるのが、「純正レンズじゃなきゃ高性能じゃないのか?純正より安いサードパーティー製レンズは質が低いのか?」ということだと思います。
最近のサードパーティレンズの性能、メリット・デメリットなどを紹介していきたいと思います。
サードパーティー製レンズとは
カメラ本体と同じメーカーから販売されているレンズを『純正レンズ』と呼びます。これに対して、カメラ本体と別のメーカーが販売しているレンズを『サードパーティ製レンズ』と呼びます。
例えば、Sony αシリーズカメラの場合、Sonyの販売するEマウントレンズが純正レンズ、TAMRONやSIGMAから発売されているEマウントレンズをサードパーティー製レンズと呼びます。
代表的なサードパーティー製レンズメーカーはTAMRON、SIGMA、Tokinaなどが挙げられ、家電量販店のカメラ売り場でも取り扱いがあります。
TAMRON:本社は埼玉県、1950年代からカメラ用レンズ製造の歴史がある。
SIGMA:本社は神奈川県、1960年代からカメラ用レンズ製造の歴史がある。レンズだけでなくカメラ本体も製造しており、SIGMA製カメラにとっては『純正レンズ』である。
Tokina:本社は東京都。ケンコーとトキナーが合併した会社Kenko Tokinaのレンズブランド。両社はともに1950年代創業。
こうしてみると、どのメーカーも歴史の長い国産メーカーであることがわかります。
最近見かけるようになったSAMYANGは1972年創業の韓国のメーカーで、日本ではKenko Tokinaが国内代理店です。
また、カールツァイスは1846年創業のドイツのブランドで、ライカ、コシナ、SONY、富士フィルム、Kenko Tokinaなど多くの企業と提携しています。ツァイスレンズは一般的なサードパーティー製というものではなく、むしろ純正より付加価値の高い一流レンズブランドといった位置づけです。
サードパーティーは質が低い?
カメラに詳しい友人にアドバイスをもらったら、「サードパーティ製は写りやAFが良くないからやめた方が良い。純正を買うべきだ。」と言われたよ。
正直、2000年代くらいまでは『質の純正・コストのサードパーティー』という傾向が強く、サードパーティー製レンズは質の低さを妥協するレンズというイメージでした。
そのため、昔から一眼カメラを使用している人ほどサードパーティー製レンズに対して抵抗があり、使用を避けているのではないでしょうか。
しかし、2020年代現在、サードパーティー製レンズは質に妥協しない本気のレンズに進化しています。
純正レンズとサードパーティ製レンズの差が縮まったのは、製造技術の発展によるところが大きいかと思います。
ここからは『カメラの話』ではなく『モノづくりの話』になってしまうのですが、
なぜ昔のサードパーティーレンズは、純正より劣っていたのか?
一眼レフ機が全盛だった頃ってCANONやNIKONなどカメラメーカーが非常に強大で、レンズのシェアにおいてもめちゃくちゃ強かったと思うんです。
だから純正レンズっていうのは、【売れる⇒コストかけられる⇒高性能・高品質⇒売れる⇒・・・】っていうサイクルで製造されるので高性能・高品質でした。(これは現在の純正レンズでも同様なのですが。)
一方で、サードパーティー製レンズは純正レンズと戦うためには、同じ性能・同じ価格もしくは少し安いくらいではみんな純正レンズを選んでしまいますから、必然的に純正より圧倒的に安い必要があります。
そうなると開発コスト、製造設備コスト、材料コストを削減しなくてはいけないわけですから、純正よりも質が落ちる・・・のが当然ですね。
さらに、マウント形状を変えて複数メーカーに対応するサードパーティーレンズはカメラ本体との相性という意味でも純正レンズより性能が劣ってしまうのも仕方ないですよね。
こういった性能・品質の差が大きかったため撮った写真にも明確な差が出てしまっていたのではないでしょうか。
それでは、現在のサードパーティーレンズはどうなのでしょう?
製造技術の進歩によってこの性能・品質の差が大幅に縮まったのが現在のサードパーティーレンズだと思います。
というか、カメラ性能やディスプレイ性能の進化よりも大幅にレンズ品質が向上したので、純正とサードパーティー製の差を見ることが難しくなった。とも言えます。
現在の製造技術であれば、最新の加工機でなくとも高精度な加工が可能ですし、小型・高精度なモーターも低コストになりましたから、低コストで性能の良いレンズ製造が可能になりました。
また、ミラーレスが主流になりレンズが小型化され、ゆがみなどをボディ側で補正するようになったことも低コストレンズにとって有利な環境になりました。
そのため、サードパーティーであっても性能を妥協せずに純正レンズと戦うことができるようになり、昔に比べてサードパーティーレンズのクオリティーが飛躍的に高くなりました。
一方で、カメラ本体の解像性能は一部のフラッグシップ機種や高画素特化機種は大幅に進化していますが、ベーシック機種は2400万画素程度が主流です。
写真をアウトプットするディスプレイの解像度は一般的に4K・800万画素やフルHD(2K)・200万画素です。
こういった撮影環境、鑑賞環境での解像度の進化は、レンズ加工技術の進化に比べれば比較的小さいと言えます。
その結果、
- 一部のフラッグシップ機種であれば純正とサードパーティー製で写りの差がわかる。
- ポスターサイズ以上に印刷したり、ものすごく拡大すれば純正とサードパーティー製で写りの差がわかる。
- ベーシック機種や一般的な鑑賞環境ではもう純正とサードパーティ製の写りの差はわからない。
ということになり、人間の目ではそのレンズの性能差を明らかに体感することはとても難しくなりました。
つまり、一部のプロレベルの環境でなければ純正とサードパーティーの差はほぼわからない。
一般的用途であればサードパーティー製レンズでも全然問題はないですよ!
サードパーティー製レンズのデメリット
純正レンズと遜色ない品質となったサードパーティー製レンズですが、デメリットはあります。
それはカメラ本体の最新機能に完全に対応することはできないという点です。
AFの制御アルゴリズムでは、当然純正レンズはカメラ側のAF制御アルゴリズムとレンズ側のAF駆動アルゴリズムを相互に最適化して設計されています。
そのため、サードパーティーレンズはカメラとのAF協調において純正レンズよりやや劣ることになります。
また、カメラ側にレンズデータがあらかじめ必要な【ブリージング補正】や【アクティブ手振れ補正】などの機能も純正レンズのために設計されており、サードパーティーレンズでは使用できない、または本来の性能が発揮されません。
それから、Eマウントレンズではサードパーティー製レンズはテレコンに対応できないなど、カメラメーカーとの契約上の制限が設けられている場合もあります。
そして、何よりのデメリットは性能に満足していても結局『純正レンズを試してみたくなる、欲しくなる』という心理的なもの(物欲)ですね。
上を見たらキリがないんですけど・・・沼が待ってます。
サードパーティー製レンズのメリット
サードパーティー製レンズのメリットは価格が純正より安いことだけでしょうか?
サードパーティー製レンズには価格が純正レンズより安いということ以外のメリットもあります。
それは、純正にはない焦点距離や純正には無いコンセプトのレンズを選択できることです。
純正レンズのバリエーションは比較的手堅い焦点距離、一般的に需要の高いコンセプトのレンズに集中しています。
あまり売れないレンズを作るメリットはないですからね。
一方でサードパーティー製レンズは純正ではカバーしていない焦点距離の単焦点レンズ、60‐600mmのような広ズーム域だったり20‐40mmのような個性的なズーム域のレンズが存在します。
需要が少ない個性的なレンズであっても、複数のマウントで広く販売でき、純正と競合せずに販売できるため、純正よりも挑戦的なコンセプトのレンズを販売することができるのがサードパーティー製レンズの強みです。
まとめ
- 昔は目に見えて純正レンズとサードパーティー製レンズの性能差があった
- 現在は一般的な鑑賞環境では純正とサードパーティ製の写りの差はほとんどわからない
- 一部の機能において使えない、純正より効果が劣る場合がある
純正にしろサードパーティーにしろ、低コストラインナップ(SONY無印やSIGMA contemporaryなど)と高性能ラインナップ(SONYのGMレンズやSIGMA Artレンズなど)があるので一概には言えませんが、
ほとんどの人にとって【サードパーティー製レンズ=必要十分】【純正レンズ=必要十分~オーバースペック】です。
プロユースではなく、子供写真や家族写真など一般的な用途であれば純正かサードパーティーかを気にせず、用途と予算に合わせて自分の欲しいレンズを選べばよいと言えます。
ただし、光学系や駆動系の設計は日々進化していますので、古いレンズより新しいレンズを選んだ方が良い写真が撮れます。(オールドレンズジャンルを除く)
Eマウントのサードパーティー製レンズではTAMRONやSIGMAが代表的ですが、個人的な使用感として以下の様に使い分けています。
TAMRON:自然で温かい写りで、「かわいい」写真に向いている
SIGMA:キリッとした写りで、「かっこいい」写真に向いている
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